風の教えるままに ~バス編 2 ~

ライゼル達が待ち合わせの酒場に入ると、どっと楽しげな笑い声があがった。その方向に目をやると、カイルが誰かと楽しげに談笑している姿がそこにはあった。






「カイルさん、遅くなりました。ライゼル・ロイス、フェイリー両名の・・・」
カイルの前に立ち、サンドリア式敬礼をしながら報告をしようとしていたライゼルの動きが止まった。
なぜなら、にこやかに微笑みながら、目の前に酒の入ったグラスが差し出されたからだった。
「おつかれさん~~~。おりゃ、まっちくたびれてさぁぁ、のんでたら ばったり【たいちょー】とあっちゃって・・もう・・・ほれ・・おまえもいっぱい のめ」
半分ろれつの回らなくなっているカイルから、強引にグラスを渡され、「隊長」と言われた人をみると、そこには 13騎士団切っての精鋭部隊といわれている第四部隊隊長メビウスが、これまたいい具合に酔っ払ってフェイリーにグラスを渡して、盛大な拍手をしていた。
「いいねいいねぇ! もっとのむぅ?」
メビウスの言葉に、グラスを返しながらフェイリーは頷いていた。
「ちょっ・・おまっ! なに飲んでっ・・た・・隊長! これ酒では・・・」
「いゃんっ。たいちょーなんて・・・めびちゃんって呼べよぅ」
慌てて止めに入ろうとしたライゼルに、悲しそうな顔を作ってメビウスは呼び名を訂正させる。
「そうだぞー、メビちゃんって呼ばないと、だめなんだそぉ」
カイルも加勢して、二人で「そうだそうだ!」と囃子たてる。
「そうだそうだー」
ついでに、ほんのり赤い顔で、フェイリーも仲間入りをはたしたらしい。
「フェイちゃん、いいこだねー。はい、おかわりー」
いつの間にか、メビウスの膝の上にちょこんと座っていたフェイリーは、渡されたグラスに口をつけ、一気に飲み干した。
その様子を見ていたカイルとメビウスはやんやと手を叩き、ライゼルは青くなった。
「お・・いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ」
ぷはー・・・・と、グラスをテーブルに置いたフェイリーの目は完全に座っていた。こころなしか「ヒック・・」とか言ってるように思う。
「うわぁぁぁ・・・ふ・・フェイ・・・おまっ・・・」
完全に酔っ払い状態のフェイリーを見て、ライゼルは蒼白になった。頭の中で『やばい・・やばい』の文字が踊る。
と、フェイリーがメビウスの膝からひょいと降り、ふらふらと歩き出した。
「フェイ・・どこいくんだっ」
ライゼルが慌てて声をかけると、座った目のまま振り返り「おといれ」といって、店の奥に歩いて行ってしまった。呆然とフェイリーの背中を見送るしかないライゼルであった。
「ライ君ったら・・ママみたいー」
その様子をみていたカイルがいうと、メビウスも「ママー。ママー」とライゼルを指差し笑う。
『よっぱらいなんてっ!』
わなわなと振るえる拳で酔っ払いの言葉に耐え、しつこい「ママ」攻撃に「はいはい」と仕方なく返事をするライゼルだった。




そして。事件は起こったのである。



「やっと着いたー! ライ君・・フェイちゃんは?」
フェイリー迷子事件にふりまわされ、一人ジュノ方面に逆走していたグッキーが、やっとライゼル達の待つバストゥークの酒場に着いた。
イライラとした風に、酔っ払い達の相手をしていたライゼルは、やっと味方が来たとほっと胸をなでおろしたものの、そういえば存在を忘れていたと、あわててトイレへと向かった。が、待てど呼べどフェイリーからの返事がない。
再び蒼白になってグッキーに報告すると、酔っ払いから返事が返って来た。
「フェイちゃんなら~、さっき~、お外にいったよぉ」
「カイル・・・それを君はだまって見てたの?」
「だってぇ~、ぼくお外にまだいきたく・・・・」
ガツンっ! と、大きな音を立てて、グッキーの拳がカイルの頭に炸裂した。
「きゃーっ・・ぐっきーちゃんのらんぼうも・・・」
それを見て叫んだメビウスの頭にも容赦なく拳が叩きこまれる。
「ライ君!」
ビクッとなり、頭をつい押さえてライゼルがグッキーを見つめる。
「なにぼっとしてるのっ! 早くさがしにいくよっ!」
「は・・はいっっっ」
殴られ、机に突っ伏したままの二人の酔っ払いを無視して、二人は慌てて町中へと飛び出して行ったのであった。




「なぁ、カイルさんよ・・」
「なんですか。。メビさん・・・」
「グッキーって。。あんなキャラだったか?」
「・・・・・ノーコメントでいっすか?」
「うんー・・・いいともぉぉぉ」
と、言う会話がひそやかに交わされていたとかいないとか・・


                                  つづく(汗)
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by ryo0610hi | 2007-11-12 19:13 | バス編