FFXIのキャラですすめる小説


by ryo0610hi
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

風の教えるままに 前進3

 ロンフォールはとても晴れていた。
 霧が多く発生するこの森ではあったが、ライゼルの訓練の成功を支援するかのようなすっきりとした青空だった。
 ライゼルは、初めて渡された「パール」と呼ばれる通信機を耳に装備する。
 ピアスやイヤリングとは違い、耳の穴に直接はめ込むものだった。
『ライゼル。聞こえるか?』
 パールから直接クリエルの声が聞こえた。それに対してつい頷いてしまってから、慌てて返事を返す。
「は・・はいっ」
「うむ。頷いても私には伝わらないからな」
 クリエルの返事は、パールからではなく、ライゼルの真後ろから聞こえビクッとライゼルは後ろを振り返る。
「初めてのときはよくやるんだ、なに、恥ずかしがることない」
 真っ赤になったライゼルの顔をにやにやしながらクリエルはみて、フォローをいれる。
「さて、ライゼル。訓練を開始する! 今から、王墓へ向かい、墓の後ろで待機。墓を荒らしているやからがいるかどうか、確認ののち帰還。私に直接報告。これが訓練の内容だ。王墓に入る前、墓石前、王墓から出た後の三回の報告はパールを通じて必ずするように。以上だ」
「はい!」
 敬礼をし、ライゼルは答える。
「ただし、無用な戦闘は避ける。なにか危険が迫ったり、不測の事態が発生した場合はパールにて連絡する」
「わかりました」
力強く頷いて、ライゼルは再び敬礼をクリエルに返した。
「開始!」
クリエルの号令でライゼルはロンフォールの森へとかけだした。
「おーい、青年! 逆! そっちじゃねぇぇ!!」
クリエルは、王墓方面とは逆に走り出したライゼルに慌てて声をかける。地図をひろげ「あれ?」と、首をかしげてからなんとか王墓方面へと駆け出したライゼルの様子を見て、クリエルは激しい不安を感じずにはいられなかった。





 ライゼルは、地図を見ながらロンフォールの森を順調に進んでいた。
「えーっと・・・・あれ? 」
 わけではなかった・・・。
「おかしいなぁ・・・・川を渡って・・ひたすらまっすぐ・・・・だよなぁ・・・なんで見張り塔みたいなところに・・・・?」
ひっしに地図をくるくる回して格闘するライゼルだった。

「・・・・・なあ、スラグ。時間かかりすぎだとおもわんか?」
 街を出発してから早2時間・・・ライゼルから今だ王墓前についたとの連絡が来ない。
「あのー・・僕みてきましょうか?」
 一仕事終えて戻ってきていたグッキーがクリエルに言うが、クリエルは首を横に振った。
「いや、危険があるわけじゃない。から・・な・・。すまんなグッキー。心配をかけた」
 にっこり微笑みをクリエルに返して、グッキーは頷いた。
「クリさん・・・・あそこはけっこう入り口が見つけにくいですからね、きっと探してるんですよ」
 スラグがそういうと、クリエルもそうだな。と頷いて無理やり自分を納得させた。


「わかった! なんだー・・ちょっと位置がずれてたのか・・急ごう」
地図と格闘する事1時間。やっと自分のいる位置が理解できたらしいライゼルは、今度こそ間違いなく王墓方面へと向かい始めた。
 ランペール王の墓への入り口にたどり着いたのはそれから1時間もたった後だった。

 
『ライゼル・ロイス。ただいま王墓入り口に到着しました。今から王墓領へとはいります』
「・・・・・・ここを出発したのが15時・・・今18時・・・・・おいぃ」
ライゼルの報告に冷静に返答したものの、頭を抱えずにいられないクリエルである。

 
 王墓に入ってすぐは、ちょっと順調だった。適当に角を曲がったら洞窟入り口へと入っていけた。洞窟内もすんなり進み、自分でもやればできるとライゼルは自画自賛し、ちょっと自信もついてきた。が、幸運は長くは続かないのである。
「ふぅ。ここが墓石のあるところだよな・・・急がないと・・・・」
すっかり日も落ち、月の光だけが頼りの道をライゼルは足早に駆け出した。
「む・・・ここ、さっきの場所だよな」
どうやら城壁を一周したらしいライゼルは首をかしげる。地図をみると、曲がり角を曲がっていなかったらしいことに気が付いて再び走り出す。


「なあ・・・報告遅いとおもわないかっ!」
 クリエルは半泣きになってスラグに訴えた。
「た・・確かに・・先ほどの報告が18時・・・今・・・・21時・・・」 
 頭を抱えるクリエルにスラグはお茶を飲んで落ち着いたらいいと提案する。
「それは、私に淹れろという催促なのかな?」
「そう取れるなら、そうなのでしょうね・・・あの茶器で飲むとなぜか・・」
「了解した!このクリエルが淹れたものでよいのでしたら、いくらでも淹れさせていただく!」
わたわたと立ち上がりお茶を淹れる準備をはじめたクリエルの背中を、スラグはにやにやしながら見ていたのだった。


「あっれーーー・・・・。まがって曲がって・・・まっすぐ行って・・なんでここに戻るんだう・・・??」
 彼は墓石前のフィールドに洞窟へ下りる場所が二箇所ある事に気がついていない。
 自分が登ってきた場所の出入り口ではないのに、思い込みでまた戻ったと考え込んだ。
「いったいどこを間違ったんだ? 迷ったときは原点にっていうけど、ここがそうだよな・・うーむ・・・・そか! 逆にいけばいいんだ!」
 

「なんでまだつかないんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
クリエルはとうとう頭を抱え込んだ。
「おかしいだろう! 18時に王墓に入って、今24時だぞっ!!!!!」
「これは・・・・」
 スラグが書類から顔を上げ、真剣な顔でクリエルを見ながら続けた。
「これは・・・迷子?」
「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
クリエルは髪をかきむしって絶叫したのだった。


「・・・・うううう・・・なんで・・どうして・・・・」
 さすがのライゼルも半泣き状態だった。どこをどう歩いてもたどり着かない。
 と、背後でかさかさとなにかが動いた。
「な・・なんだ?」
 びくびくと振り返ったその目の前に、背中に蛸壺のような篭を背負ったカニが現れた。
「ひぇぇぇっ!! ちょっ。。こんなモンスターでるなんて聞いてないよ!」
 ぼかっっ!
 叫んだライゼルの頭を何者かが、拳骨でなぐった。
「つっっっ・・・・・」
 あまりにもの痛さに、ライゼルは思わずしゃがみこむ。
「オイラのかわいいカニ君を、そこいらのモンスターと一緒にするんじゃない!」
 ぷりぷりと怒りながらそう言ったのは、エルヴァーン族の青年だった。
「お前・・・迷子だろう・・・」
 ぷぷっ・・と吹き出して、その青年はライゼルに言った。
「ど・・どうしてそれを・・・」
 正直に言ってしまったライゼルに、青年はこらえていた笑いを爆発させた。
「そ・・そんなに笑わなくても・・・・」
「ワラウさ!」
 ひとしきり笑ってから、青年はライゼルに言った。
「ここの道を四周も・・・・ぐるぐるしてるの見てれば・・・だれだって・・・・ぷぷっ・・」
 また、笑い出す。
「そ・・そんなに見ていたのなら、教えてくれたって!」
「おばかさん・・・。それじゃ訓練にならないでしょうが」
青年はそういうと、ライゼルに向かってサンドリア式の敬礼をしてみせた。
「それは・・そうですが・・・・」
「だろう? しかし、さすがにオイラもこれ以上ぐるぐるしてるの見てられなくて声をかけた訳なんだけどね」
「・・・・すみません」
 しょぼーんと肩を落とすライゼルを青年は励ますように、頭をぽんぽんと叩いた。
「まあ、オイラがきたからもう、安心。ナイショで手伝ってやるよ。ついておいで」
 走り出した青年の後を、彼のペットと共について行くライゼルだった。
「うそ・・こんなにあっけなく・・・・」
「角をまがるところを、ちゃんと曲がらないからこうなるんだよ・・・ほら、早く連絡したほうがいいぜ?」
 ライゼルのパールを指差して、青年は言った。
「あ・・は。。はいっ」



『ライゼルです。今、王墓の裏に到着しました。連絡が遅くなって申し訳ありません・・』
「あ・・いゃ・・・そうか・・着いたか・・・」
『今のところ、怪しい人影は・・ないです・・』
「うむ・・・気を付けて任務を続行せよ」
『了解です』
「・・・・・・・・・・・・」
 じーっと、暖炉の上に置いてある時計を見つめる。すでに0時30分を回っていた。
「スラグさん・・・・任務時間延長かも・・」
 クリエルの言葉に、目を通していた書類から顔を上げて、スラグは空になったティーカップを指差した。
「了解っ・・」
スラグのティーカップを手に、新しいお茶を淹れるべく、クリエルは立ち上がったのだった。


「今日のところは、オイラも見てたけど、とくに変わった事なかったなぁ・・・さて、帰る時間じゃないの?」
 墓の前でお祈りをしていた青年は、そういうと立ち上がりライゼルに行こうと促した。
「え・・今、着いたばかりで・・」
 戸惑いをみせたライゼルに青年はこい言った。
「んー? お前さんが迷子でぐるぐるしてる時、だれかに会ったかい?」
「いえ・・・」
「だろう? オイラもここに暫くいたけど誰もいなかった・・・と、言うことは、今日はだれもいないってことさ・・」
 青年の言葉にライゼルはなるほどと頷いた。
「あ、自己紹介がまだでした。私は・・・」
「ライゼル。第13騎士団の新人君」
 にやりとわらって青年が先に言う。
「え・・なんで知って・・・」
 驚くライゼルに青年は答えた。
「オイラは第13騎士団が一人、ターリ。ダンジョン調査担当をしてる。よろしくな、新人!」
「はいっ・・よろしくおねがいします!」
 その後、ターリに連れられ無事に墓を後に出来たのは言うまでもない。


「ライゼル・ロイス。任務完了しました」
「ご苦労だった・・・」
 ターリとは、ロンフォールを出たところで別れ、ライゼルは一人で帰還した。ターリには、自分がそこにいた事はナイショにする事を約束させられたため、報告から省いた。
クリエルからは、任務とは別に地図を見ながら行動する訓練をするようにと新たに命じられ、この日の初任務は終了したのである。

 

「地図かぁ・・・・」
この日から、彼の努力は始まり、今では迷わずに色々な場所を進めるようになったのである・・。


多分・・・・





「あれ・・・・穴に落ちたらまよった?」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞かなかったことに・・・。



その後、ライゼルが一人で任務に当たる事は暫くなかった・・・・・・。
[PR]
by ryo0610hi | 2007-04-13 11:15 | 番外編