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FFXIのキャラですすめる小説


by ryo0610hi
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- 5 - 出会い

ざわざわしていた教室の中が、先生が来た事で急に静まる。
 私は、緊張で手のひらにじんわり汗をかいていた。今日の試験に受からなければまたね落第だ。これ以上落第したのではさすがに優しい叔父たちに顔向けが出来ない。
 



そんな私の様子を察して、ルフフが手を握ってくれた。
「フェイ。大丈夫よ。ね、がんばろう」
「う・うん」
 ぎこちなく頷いて、先生の話しに耳を向けた。
「今日の試験は二人一組で行います。場所は東サルタバルタ。目標は「ヤグード族」です。くれぐれもあまり街から離れてはいけません。強さを見る方法は覚えていますか?」
先生の問いに全員が頷く。
「一人は回復をもう一人は攻撃を。すべて魔法で行います。試験場所には先生達がいますから、ずるはいけませんよ」
「はーい」
「ヤグードの羽根を拾えたら合格です。みなさん。くれぐれも落ち着いて行動してください。万が一のときは先生達が駆けつけてくださいます。」
この言葉に、教室のあちらこちらからくすくすと意地悪く笑う声がした。
 去年、私は標的を間違ってクロウラーという毛虫のモンスターに攻撃魔法をかけてしまった。かなり危険な状態だったところを駆けつけた先生達に助けられたのだ。もちろん試験は不合格。最悪の試験だった。
「誰にでも失敗はあるのです。それを笑う人には試験を受ける資格はありません」
先生の言葉に、ぴたりと笑いが止まった。
「今年は、全員の合格を願っています。落ち着いてがんばりましょう。では、移動開始です。自分の組む相手は廊下に張り出されていますから、確認して指定された場所へ向かってください。そこにいる先生に名前を告げたら試験開始です」
 張り切って一番に教室を出て行く人、魔法の確認をしている人・・・私は緊張からなかなか椅子から立ち上がれないでいた。
「フェイ! 私と一緒だよっ! よかったー。あなたとなら安心だわ」
一足先に掲示板を見てきたルフフにそう告げられて、私の緊張も少しだけ和らいだ気がする。
「さあ、行きましょう! 二人で合格よっ」
「うん」
こうして、試験の幕は上がったのだった。

「ルフフとフェイリーです」
 試験担当の先生に名前を告げると、先生から場所を示される。先生達の目の届く範囲に私達はそれぞれ散って行く。
 すでに試験を終わった人もいたようだったようだ。
「頑張ろうね」
 ルフフとしっかりと握手をして、私達もモンスターが現れるのを待っていた。
「フェイっ! 出番ヨッ!」
 ルフフの合図に敵を探る。私達の試験の対象である事を確認して、私は魔法を唱える。慌てないように慎重に・・・
「大地の気よ。われの意思に従いヤクードを撃て、ストーン!!」
モンスターの周囲にあった土が砕け、いっせいに攻撃を仕掛ける。と、同時にモンスターは私に向かって突進し、一撃を食らわせた。
「火よ土よ風よ水よわれに回復の力を・・フェイリーにケアル」
絶妙なタイミングでルフフから回復魔法をもらい、その間再び魔法を唱える。
「水の気よ。われの意思に従いヤクードを沈めよ、ウォーター!!」
大気に含まれる水が集まって、モンスターを捕らえた。その間に一撃を食らったものの、ルフフの詠唱が間に合い事なきを得る。続けざまに大地の魔法「ストーン」を唱え、ヤグードを倒した。
「やったーっ」
ほっとして大きく息を吐き出し、ヤグードが落とした羽根を拾いルフフにも渡そうと振り返ったその時だった。
「フェイっ!!!」
 悲鳴にも似た叫びが聞こえた。
振り返った私の目に飛び込んできたものは、たくさんのヤグードに囲まれている私達だった。
「ど、どうしよう・・凄く強いよ・・このモンスター達・・・」
震えながらそーっと私のそばまでやってきたルフフは、ぎゅっと手を握ってきた。
「う、動いたら、こっちにくるよね」
「たぶんね・・・」
「先生が、なんとかしてくれるよね・・・」
「うん・・」
と、一人の生徒が耐え切れなくなって、走り出した。それに反応してヤクードたちは一斉に私達に向かってきた。
先生達が魔法を唱えるけど離れた場所に立つ私達全員に間に合うわけもなく、一人、また一人と襲われていく。私達の所にもヤクードはやってきた。
「大地の気よ。われの意思に従いヤグードを撃て、ストーン!」
最後の魔法だった。マジックポイントがもう残っていない。でも、少しでもルフフが襲われないようになれば先生が助けてくれるはず。そう思ったのに、私の視界には倒れる一人の先生の姿が映ったのだった。
「うぐっ・・」
「フェイリーにケアルっ!」
ヤクードに攻撃されて倒れそうになる私にルフフは回復魔法をかけてくれた。
「ルフフ逃げてよっ! 早く先生の所にっ!」
「一緒にいくのっ!」
「きゃあっ」
「ルフフっ!!」
もうだめだと、傷ついたルフフを硬く抱きしめて、私は、私は、そこにうずくまるしかできなかった。
by ryo0610hi | 2006-04-08 20:40 | 序章 出会い