- 3 - 騎士団
2006年 04月 08日
重厚な城壁に守られた国 「サンドリア」 。その中に建つ優美な城「ドラギーユ城」。
この城の一角に彼らはいる。
「サンドリア赤獅子騎士団第13部隊」それが彼らの名だ。
「ご苦労様です。団長」
険しい顔をしてヒューム族の女性が部屋に入ってきた。
「また、何か問題でも?」
団長にお茶を差し出しながら同じヒューム族の青年が尋ねた。
椅子に腰を下ろしながら紅茶を青年から受け取り、小さく溜息を漏らして彼女は言った。
「聞きたいか?」
「・・まあ、予想はつきますが・・ね」
肩をすくめてみせ、団長の向かいに腰を下ろし、先を促す。
「現状は逼迫はしていない。ただ、やはり各国のモンスター達の動きが変だと言うことだ」
「変・・ですか・・」
「うむ。表立っては活発化しているようには見えないらしいが、クリスタルをめぐって変な動きがあるらしい・・・と」
「らしい・・・か。すべて抽象的ですな」
ヒューム族の青年が肩わすくめてエルヴァーン族の青年の顔を見た。
「で、我々はどう動きますか?」
「そこなんだが・・・・」
団長は言い淀んだ。
「下手に動けばいろいろとな・・・」
「ふむ。面倒ですね・・・」
「まったくだ。手柄なぞどうでも良いではないか、問題はそこにあるのではないのだからな。しかし、腐った考えの馬鹿が多くて困る」
渋い顔をして、紅茶をすする。
「ああ、クリエル。新人の様子はどうだ? 使えそうか?」
「ライゼルですか? はい。覚えはいいし、素直だし。みなになじんで可愛がられていますよ。・・・ただ・・・・」
「ただ?」
「いや・・・たいした事ではないのですが・・・その、迷子になるというか、はぐれるというか・・・」
エルヴァーン族の青年が溜まらず噴出す。
「ほう。・・・・まてよ・・・」
テーブルに両肘をついてあごを乗せると何かを考えるように目を閉じた。やがて目をあけると団長は言った。
「ライゼルに新人テストを行う」
「はぁっ? テストぉ? 」
二人の青年から同時に声が上がった。
「聞いたことないデスが・・・」
「あたりまえだ。今、決めた。 迷子になりやすいのだあろう? だったら道を覚えるために各国を回らせよう。ついでに、偵察させる。どうだ?」
「なるほど」
青年達は頷いた。
「我々が団体で動けば、各国の騎士団もいい気がしないだろう。ごたごたは避けたい。かといって表立って動けば、今度はこちらの内部もうるさい。冒険者たちばかりに危険な事はさせたくはない。だったら、ゲームだと称して少数で動き、偵察させる。だが、それを本人が知っていたら周りにもばれる可能性があるから・・」
「新人テスト・・ですか」
わかったと、頷く。
「まぁ、やりかたまで考えている暇がないのだがな、もうすぐうちの軍師殿も出勤してくるだろう。あとはアレと相談して進めてくれ。責任は私が取る」
「了解しました」
青年達は立ち上がり、団長に向かって敬礼する。それに頷いて団長も立ち上がり敬礼を返す。
「アレはこういうことが大好きだろうから、嬉々として進めるだろうな」
「我々も大好きですよ」
青年の言葉に笑いながら頷いた。
「さて、古狸のお相手をしてくるか、後をたのむ」
「はい。ご苦労様です」
ひらひらと手をふりながら、団長は部屋を後にしたのだった。
この城の一角に彼らはいる。
「サンドリア赤獅子騎士団第13部隊」それが彼らの名だ。
「ご苦労様です。団長」
険しい顔をしてヒューム族の女性が部屋に入ってきた。
「また、何か問題でも?」
団長にお茶を差し出しながら同じヒューム族の青年が尋ねた。
椅子に腰を下ろしながら紅茶を青年から受け取り、小さく溜息を漏らして彼女は言った。
「聞きたいか?」
「・・まあ、予想はつきますが・・ね」
肩をすくめてみせ、団長の向かいに腰を下ろし、先を促す。
「現状は逼迫はしていない。ただ、やはり各国のモンスター達の動きが変だと言うことだ」
「変・・ですか・・」
「うむ。表立っては活発化しているようには見えないらしいが、クリスタルをめぐって変な動きがあるらしい・・・と」
「らしい・・・か。すべて抽象的ですな」
ヒューム族の青年が肩わすくめてエルヴァーン族の青年の顔を見た。
「で、我々はどう動きますか?」
「そこなんだが・・・・」
団長は言い淀んだ。
「下手に動けばいろいろとな・・・」
「ふむ。面倒ですね・・・」
「まったくだ。手柄なぞどうでも良いではないか、問題はそこにあるのではないのだからな。しかし、腐った考えの馬鹿が多くて困る」
渋い顔をして、紅茶をすする。
「ああ、クリエル。新人の様子はどうだ? 使えそうか?」
「ライゼルですか? はい。覚えはいいし、素直だし。みなになじんで可愛がられていますよ。・・・ただ・・・・」
「ただ?」
「いや・・・たいした事ではないのですが・・・その、迷子になるというか、はぐれるというか・・・」
エルヴァーン族の青年が溜まらず噴出す。
「ほう。・・・・まてよ・・・」
テーブルに両肘をついてあごを乗せると何かを考えるように目を閉じた。やがて目をあけると団長は言った。
「ライゼルに新人テストを行う」
「はぁっ? テストぉ? 」
二人の青年から同時に声が上がった。
「聞いたことないデスが・・・」
「あたりまえだ。今、決めた。 迷子になりやすいのだあろう? だったら道を覚えるために各国を回らせよう。ついでに、偵察させる。どうだ?」
「なるほど」
青年達は頷いた。
「我々が団体で動けば、各国の騎士団もいい気がしないだろう。ごたごたは避けたい。かといって表立って動けば、今度はこちらの内部もうるさい。冒険者たちばかりに危険な事はさせたくはない。だったら、ゲームだと称して少数で動き、偵察させる。だが、それを本人が知っていたら周りにもばれる可能性があるから・・」
「新人テスト・・ですか」
わかったと、頷く。
「まぁ、やりかたまで考えている暇がないのだがな、もうすぐうちの軍師殿も出勤してくるだろう。あとはアレと相談して進めてくれ。責任は私が取る」
「了解しました」
青年達は立ち上がり、団長に向かって敬礼する。それに頷いて団長も立ち上がり敬礼を返す。
「アレはこういうことが大好きだろうから、嬉々として進めるだろうな」
「我々も大好きですよ」
青年の言葉に笑いながら頷いた。
「さて、古狸のお相手をしてくるか、後をたのむ」
「はい。ご苦労様です」
ひらひらと手をふりながら、団長は部屋を後にしたのだった。
by ryo0610hi
| 2006-04-08 00:43
| 序章 出会い