FFXIのキャラですすめる小説


by ryo0610hi
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風の教えるままに サンドリア編6

「なんてことを・・まだこの子を囮として使おうというのか!」
小部屋に、アイーシャの怒りの声が響く。





「くそうっ! あいつらは何を知っている。なにをさせようとしている!」
「アイーシャ。ちょっと落ち着きましよう。一番ショックなのはフェイちゃんよ。これ以上怖がらせないで」
壁を何度も殴りながら叫ぶアイーシャにジェイトンが、静かにいう。その腕の中でおびえたように自分を見ていたフェイリーに気が付き、ごめんね・・と小さく言った。
「ごめん。頭に来るとどうも抑えられなくて・・・」
そんなアイーシャにフェイリーを抱いたままジェイトンは近づき、頭をなででまたそっと大丈夫だよと頷いた。
「アイーシャちゃんは、仲間のこととなると頑張っちゃうからねぇ」
「そうだな・・ここはひとつ落ち着くために俺が御茶を・・・いてて・・」
クリエルが状態を起こし、小さく体を伸ばす。
「くりちゃんっ。気が付いたのねぇぇぇ。よかったわぁぁぁぁ」
「ああ・・そのだみ声のおねぇ言葉を聞くと、生きてるんだって思うよ」
「まったくですね・・いい意味でも、悪い意味でも」
気が付けば倒れていた全員が、起き上がっていた。
「ちょっと・・スちゃんにターちゃんまで、起き抜けにいう言葉はそれなのっ!」
「起きて平気ですか? 無理しちゃだめだよ?」
ジェイトンが立ち上がろうとしたクリエルに手を貸すのを真似て、フェイリーも手伝う。
「ありがとう。もう平気だよ」
微笑んだつもりのクリエルだが、どうやら顔がまだ引きつっていたらしく、フェイリーの返す笑顔もつられて引きつる。
「くりさん・・無理に笑うなよ・・不気味だ」
すかさずターリが突っ込む。
「まああれだ、フェイリー。御茶の準備を手伝ってくれるかい? まだちょっと動くのがつらいんだ」
「はいっ」
みんなの分の水を確保しに一緒に行こうと、クリエルはフェイリーに言い水筒を渡した。
「じゃ、ちょっと行って来るよ・・いてて・・」
ちょっとふらつきながら、フェイリーはそんなクリエルを気遣いながら小部屋を後にした。

「クリちゃんが時間をくれたわ」
「そう・・だね」
何度も小さく頷き、アイーシャは忌々しげに光り続ける紋章を見つめた。
メビウスがいつになく真顔で、部屋の中の全員をも回し。そして言った。
「アイーシャ。いや、軍師。私たちは中で実際死にかけた。だが、中で倒れた時『ない・・ないぞ・・』という言葉とともにここへ吐き出された。つまり、『殺すつもりはない』意志はあるらしい。それはあの『骨』と関係あるのだね?」
「そうだ」
アイーシャが答える。
「私は、報告でしかその事件を知らないので正確にはわからないが、その『骨』はあの子のご両親がもっていたものだったと記憶するが」
「ああ、話せば長くなるが、簡単に言うと『なにかの真実を知ったあの子のご両親が骨を奪い、命を落とした。』しかしそれは、ヤグード達が秘術を使い、ほかのモンスターを『強化』するための呪具だったはずだ。だからあの時『溶けてなくなった』。なくなったんだ・・そうだろう? ライゼル。グッキー」
「はい。黒い煙とともに・・でもフェイはそれを知りません。ただ煙が骨から出てきたという認識のようです・・・」
ライゼルが答える。
「溶けるのを見ていたのではないのか?」
メビウスの問いに、ライゼルは首を横に振る。
「あの時、フェイは次々といろんなことが起きすぎて、なにがあったのか正確に覚えていないんです。俺・・私が何度かその骨について聞いた時も『なくなっていないよ? これから煙でてきたけど・・だってウィンの兵隊さんもそういってたもん』と・・」
「なぜ、そのことを報告しなかった?」
アイーシャがいうと、メビウスが仕方ないだろうとライゼルに代わって答える。
「形見だといわれ、もしかしたら模造品をくれたのではと思ったのではないかい?」
「は・・い。彼女のためにそうしてくれたのだと・・」
グッキーが答えた。
「そうか・・」
少し考えるようにしてアイーシャは口を開いた。
「冒険者がここで倒れていると・・そんなような報告が入ったのは、実はバイトゥークからだった」

どういうわけか、団長と親しいらしいバストゥークの幹部からそんな報告が直接届いたという。団長はすぐに真意を確かめるべくほかの騎士団に赴き情報収集をした。そのなかに些細な出来事として報告があったらしい。
最初はその程度だった。
しかし、冒険者の中には腕試しと称して、そんな噂をききつけてはトライする馬鹿が多い。おかげで騒ぎは大きくなった。
わかっていることは、『スケルトンが大量にでた』『死にそうになったけど、助かった』。これだけ。だが、バストゥークの冒険者は『なにかを言って探している様だった』と報告してきていた。
どうにか動けないかと団長が試案していたところに、あの元老院からのお達しだった。
「ほほ・・さすが、雑用なら13騎士団・・」
「笑えねぇ・・」
メビウスの茶化しに。いやそうにカイルが答える。
「なるほど・・。だから私たちというわけですか」
「ああ、実力者がそろっていけば、もっと正確に状況もつかめ、あわよくば倒せるのでは・・と、な」
「おしかったですけどねー!」
メビウスがいう。が、ほかのメンバーからは同意が飛んでこなかった。
「私たちこそ、正確に話をしておくべきだったな。ただ確信が持てなかった」
アイーシャの言葉を一瞬詰まらせ、深呼吸にも似た息とともにこう続けた。
「あの時の事件はまだ終わっていないのだということが・・・」


「ただいまーっ!」
フェイリーとクリエルが水汲みから帰ってきた。
クリエルはフェイリーを小部屋入口側で待つように言う。
「火を使うからそこでやろう。道具を持ってくるからちょっとまっててくれ」
「はーい」
いいこだ。と、フェイリーの頭をなでて、クリエルは重たい空気の奥へと進んだ。
荷物をとるふりをしながら、小声でいう。
「ウィンダスの兵士が数人、ここの小部屋近くをうろついている。どうもフェイリーを監視していたのではないだろうか?」
「ふむ・・」
それだけを伝え。フェイリーの元へと戻っていった。
『アイーシャ。それにみんな聞こえるか? 私だフェイリー以外全員パール装着を頼む』
LSパールから、団長の声がした。アイーシャは耳のパールを触りながらクリエルに合図する。他全員にもアイーシャの合図でパールのスイッチを入れた。
クリエルは気が付かれないようにこっそりと自分のパールのスイッチを入れ、フェイリーのパールがオフになっていることを確認して合図を出した。
「こちらアイーシャ。全員装着完了。お話の前に軽く報告。全員とりあえず無事です」
小声でアイーシャが答える。
『それはよかった。時に国王から特別任務としてこの一件を賜った。思った通りに動いてもどこからも文句は出ない。安心して動いてくれ』
「とうとう、国王まで脅したんですね・・」
『アイーシャ・・・まだ貯まっている報告書どうする?』
「失言過ぎました!」
『ふん。・・それはそうとウィンダスの神子から謝罪がきたそうだ』
「へ?」
『あの骨を知っているフェイリーを『生贄』としてささげると、ヤグード達が騒いでいたと、今頃報告があったと。そして、その証をすでに持たせたと言っている者を捕まえたとも』
「ふむ・・・ということは、ウィンダス自体はなにも知らぬことだったと・・いうのか・・」
『そうなるな・・。そこへ向かったと返事をしてやったら慌てて兵士を送ったといっていたから、うろうろしているのではないかな』
「いました・・うろうろと」
『あんな事件に巻き込まれたばかりに、彼女にはつらい思いをさせる・・・』
そこまでの話を聞いてフェイリーをみんなは見つめた。
『全力で守ってくれ』
「もちろんです。この命に代えても」
『彼女は、お前たちの命をもらっても喜びはしないだろう。生きて帰ってこい』
「ということは。前に進んでもいいということですね」
『そういうことだ。私の愛する騎士たちは、決して軟ではないだろう?』
「もちろんですとも!」
そこで団長からの通信は切れた。


深呼吸をしてアイーシャは全員に聞こえるような大きな声で伝えた。
「明朝8時、中に入る。フェイリー。君とライゼル・グッキー・私・ジェイトン・そしてクリエルが中に入る。骨は私が持つ」
「私たちはお払い箱ですか・・・」
がっくりとメビウスが肩を落とす。
「いや、体力を戻してほしい。くりさんは化け物だから平気」
「まてまてまてまてて・・」
「クリエル隊長はおばけだったの?」
真顔でフェイリーが後ずさる。
「こら、そんな真剣なボケはしなくていい!」
部屋の中に、笑いが戻った瞬間だった。
「我々が行くことで、なにか進展があるはずだ。そしたらすかさず動いてほしい。外にいるやつらをつかってくれてもいい」
「わかりましたよ。やりましょう」
「やれやれ・・帰っていいんじゃないのか」
茶化してリュウがいうと、スラグが答える。
「そろそろ、まじめにやってますってアピールしないと、給料が減らされますよ」
「それは困るな・・」
「それに、いい加減活躍しているところを見せておかないと、またあなたのおじい様が怒鳴り込んできます」
スラグの放ったこの一言で思い出した全員が噴出した。
「それはこまる、本当に困る」
大笑いしながらターリがいう。
「『私の愛する孫を活躍させぬとはどういうことじゃ!』って来るね」
カイルまで、茶化して笑っている。
「勘弁してくれよ・・あのくそじじい・・」
嫌そうに。ほんとうに嫌そうにリュウは吐き捨てた。
「貴族の跡取り息子は大変だな」
アイーシャが笑う。
「ライゼルだって笑ってられないからな!」
「俺のところは、騎士団にはいっただけで満足しているようなので大丈夫です」
「ちっ」
このやりとりが、また笑いを生んだのだった。
「御茶が入りましたよー。クリエル隊長のおいしい御茶でーす」
フェイリーが運びみんなに手渡す。サンドリアティのいい香りが、寒々とした部屋に暖かく香る。
「うん。おいしい! 体が温まる」
明日の戦いの前のほんのひと時の安らぎの時間であった。
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by ryo0610hi | 2010-11-25 14:37 | サンドリア編