FFXIのキャラですすめる小説


by ryo0610hi
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こんな運命もあるわよね 1

「まあ、この花、つぼみがついたのね。もうそんな季節なのねぇ」
「思い出すわね。お前が騎士になるって言ったあのときのこと」
母がくすくす笑いながら、言う。
「やめてよ。お母さん。いい加減忘れてちょうだいっ」
私が言うと、大きなおなかをした姉が、花の入ったバケツを店に運びながら笑う。
「ちょっと、姉さんっ! そんな身重の体で力仕事しないでちようだいっ! 出てきたらどうするのよっ」
あわててバケツを取り上げて怒る私に、あねはけろっとして言う。
「体が軽くなっていいかも・・・」
「・・・・」
「さっき、騎士団の入団テストの期日が発表なったって、街の若者が大騒ぎしてたの聞いて私もあんたのこと思い出してわらっちゃったわ」
「笑うことないじゃない!」
「わらわいでか」
そう姉は言うと、ますます笑い出す。ひどい・・ひどいわっ。
「騎士団に受かったって、踊りながら帰ってきたことは、語り草に・・ぷぷ・・・」
「う・・うるさいわねっ」
姉にいいように遊ばれ始めた私を気の毒に思ったのか、母がそろそろお茶にしようかと声をかけてきた。
「ジェイトン。おなかの子の名付け親になってね」
「えっ・・・」
驚いて姉の顔をまじまじと見た。
「そして、いつか、この子が騎士になりたいって言ったら、面倒見てやってちょうだいな」
「ええええっ」
くすくすと姉が笑って言う。
「この子次第だからね。あくまでも。そうなったらの は な し」
「う・・うん」
「間違っても、受かったからって踊って帰ってくるようには、アドバイスはしないでよね」
「しないわよっ!!!」
久々に実家にもどれば、姉のおもちゃにされる。わかっているけどここはやっぱり私の家なのだと思う。素敵な家族。血はつながっていないけど、誰よりも私につながっている人たち。
母の入れたお茶を飲みながら、私はあの日のことを少し思い出した。



毎日の花の世話は楽しい。毎日違う顔で私を迎えてくれるから。
水をあげ、肥料をあげ、役目を終えた葉や花を摘んでやり太陽の恵みをたくさん与えてあげると、うれしそうに背筋をピンと伸ばして葉っぱを空に向かって大きく開く。
そんな花たちの世話をしているのが大好き。

そんな私にある転機が訪れたのは、そう、あの時だった。

私の家庭はちょっと特殊で、ガルカ族でありながら私はエルヴァーンに育てられた。しかも女性だけの家庭で。そのせいか言葉づかいが女性特有のものになってしまったのは仕方ないことよね。
母と3人の姉。末っ子として私は育ち、母に教わりながらこうやって花を育て売る生活。なにも不満はない。
質素だったけど、やさしくて厳しい母と、しっかりものの姉たちとなに不自由なく暮らしていたのだ。今思えば、ガルカ族の私を育てるのは並大抵の大変さではなかったはずなのに、家族の誰一人そんなそぶりをひとつも見せず、普通に接し、普通に育ててくれた。
いつものように、花たちに水をやっていると、二番目の姉が話があると私たちを呼んだのである。
「どうしたの? 真剣な顔をして」
母が聞くと、二番目の姉はすこし緊張した顔で母を、私たちを見つめやがて意を決したように告げた。

「私、冒険者の彼とともに歩んで生きたい」

もちろん、二番目の姉に冒険者の恋人がいたのはみんな知っている。そして、いつかはそう言い出すのではないかとも思っていた。

「そう・・・。決めたのね」

母は、大して驚くこともせず、静かにうなずいた。

「あなたがいずれそう言い出すのではないかと、私たちはわかっていました。反対はしません。家族が、自分の子供がおおきく羽ばたこうとしているのに、それを止めるなんてできるわけがないでしょ」
「母さん・・・」
「いつも言ってることよ。どこにいても私たちは家族だし、けっして他人になったりしない。あなたたちに私が望むことはただひとつ。元気で笑っていてくれること」

そういって、母は微笑んだ。

二番目の姉が旅立ち、一番目の姉は結婚して家を継ぎ、三番目の姉も結婚して家をでた。
一番目の姉に子供ができると・・なんだろう。何かを言われたり、態度に出されたりとかそういうのではなく、なんとなく自分のいる場所に違和感を覚えるようになってきた。
普通の生活を不満になんか思ったことなかったというのに、なにか・・・そう。自分の中のなにかが違うとしきりに「言う」のだ。


「え? お城の騎士団へ花の配達ですか?」
城の花は専属の庭師が育てた花を飾っているので、街中の花屋などに依頼がくることなどあるわけがなかった。なのに。目の前のヒュームの青年は届けて欲しいという。
「な・・なにかまずかったか?」
ためらいを見せた私に、彼はすごし困った顔で聞き返してきた。
「い・・いえ。珍しいなとおもったものですから」
「めずらしい?」
「お城には専属の庭師の方がいらして、その方のそだてた花を飾るとお聞きしていたものですから」
「ああ、そういうことか」
納得したと彼は笑った。
「今度入団することになった人が、バス出身の人でな・・その、ここにはグスタベルグに咲く花を売っているとうわさで聞いた・・」
「プレゼント。ですね」
「うむ」
すこし照れくさそうに言う彼の気持ちに私もうれしくなり、引き受けたのだった。
「あと、二・三日でつぼみになりそうなのです。つぼみになったころにお届けしたいと思うのですが・・それでもよろしいですか? つぼみを持たせるまでがすこし気難しい子なのです」
「もちろん、彼の入隊予定日が四日後だ。丁度良いぐあいにね」
「よかった」
代金を前払いして、彼は配達依頼書なるものを私に手渡した。
「門番やなにか難癖つけてきたやつがいたら、それを見せてくれ。手のひらを返したようにおとなしくなって、おもしろいぜ」
にやりと笑って彼はさっていった。
かれを見送ってからその依頼書を読んでみると

『配達依頼書
第13騎士団 第5班 カイル の命により、配達をするものである。
不満あるものは、いつでも カイル に申し出ること。いつでも相手する。』


「・・・・・・。これって・・脅しっていわないのかしら・・・」



約束の配達の日、三色の花の入った鉢をかごに入れてリボンをかける。派手ではなく、かといって貧素には見えないように心がけて心をこめてラッピングをした。
カイルさんから渡された依頼書を握り締め、どんなことを言われるのかとどきどきしながら城への道を歩く。
門番に配達の旨を告げると、すんなりと城へ通された。13騎士団の方への配達だと城の扉前にいる兵士に告げるとわかりづらいところに部屋があるからと案内までしてくれた。
カイルさんがあんな依頼書をおいていったものだからどんな仕打ちが待ち受けているのかとどきどきした自分がちょっとかわいい(はーと
「こちらです」
若い兵士は、丁寧に頭をさげその場を後にした。
花の状態を確認して、ドアをノックする。
「レティグライン花屋です。カイル様にお届けものです」
「はいはーーい」
中から若い女性の声で返事があり、程なくドアが開いた。
「いらっしゃーい。ご苦労様です。えーと・・カイルがまだ任務から戻らないので、私が責任もってお預かりしますね。私はアイーシャ」
ミスラ族の彼女が花を受け取りながらそう告げた。おそらくカイルさんから話は聞いていたのだろう。
「これって・・ほほ、カイルもなかなかいいやつ! ねね、これの育て方の注意点とかある?」
花をみて、どこに咲いている花かを理解したらしい彼女がうれしそうに笑い、そしてこちらが言う前に聞いてきた。そのことに感心しつつ私は言った。
「中に、注意点を記した紙が入っています。それを読んでくださるとわかると思います。今朝はお水をあげてあるので、日当たりのいい場所においておいてくださればお水は明後日まであげなくて大丈夫よ」
「おー、なんて強い花なんだ」
そういうと、彼女は窓辺の一番日当たりのいい場所に花かごをおいた。
「明日が楽しみだ」
そういって、私に笑いかける。つられて私も微笑んでいた。

とっつきにくいとうわさされる騎士団のうわさも、カイルさんや今日会ったアイーシャさんでイメージがだいぶ違うものになった。あんな人たちと楽しく過ごせたらいいなぁ・・・・。
そうは言っても、花を育てることはしっているけど、私は剣なんかもったことはないし、格闘や魔法もしらない。そんな私が騎士になど・・・。
城にはたくさんの冒険者が入れ替わり立ち代り入ってくる。その冒険者が出入り口に張り出されていた一枚の紙を指差し、チャレンジしてみようか・・と話をしているのに気がついた。私もそこへ行き、張り出されているものを読んだ。

『騎士入団テスト 受け付け中
 入団テストを受けるにあたり、必要なことはサンドリア王国国民であることのみ
 家柄、戦闘経験不問
 詳しくは・・・・・・                           』



体が熱くなった気がした。これを受けなければとなぜか思った。なにもできないけど力だけはあるし・・・。
いまにして思えばへんな自信が頭の中を駆け巡ったものだと自分でも思う。
いてもたってもいられず、私はそのまま騎士入団テストの申し込みをしていたのだった。


そんな興奮した状態のまま家に戻り、へんなテンションでいた私に母は「みつかったようだね」と一言言った。
「え?」
「ジェイがみつけたことなら、私はなにもいわないよ。がんばりなさい」
そう言っただけで、普段とおりの仕事を母は始める。まだなにも言っていないのに、母にはすべてわかっているようだった。そんな母の一言を聞いた私は突然つき物が取れたように頭が冷えた。

私は、なにをしてきた?
私は、なにに申し込んだ?
私が、そんなことできるの?
ちょっとまって・・・・

さーーっと青ざめる私を今度は姉が見ていた。
「ジェイトン、男なら一度決めたことでくよくよするんじゃないよ! ドーンとぶつかってから泣け!! ・・・・んで、なにをしでかしたのかな?」
「まままままだしてないわよ!」
「なーんだ。つまらない。頭の中でぐるぐるして、青くなってたってわけ? レティグライン家の長男はなんとも情けない」
母は、そこまで聞いて突然笑い出した。
「メイミーそこまでにしておやりよ。この子はまだ若い。自分がなにをしたいか、どんな可能性があるかなんてわかりっこないだろう。おおかた、勢いで騎士団にでも募集してきたとかそんなところだろ」
「なななななぜそれを」
「・・・・・図星かい・・・」
こんどは姉が笑い出した。
「ジェイトンはちっさいときから、思いつきで行動する子だったけど、いまだにそうなの? やーねぇ」
踊りだすくらいのテンションから青くなったり、恥ずかしくて赤くなったりと忙しい私をみて二人は笑いが止まらないようだ。
「まあ、あれよ。サンドリアの男の子の憧れの騎士団だもの。一度くらい挑戦してみたらいいわよ。うわさで聞いたけど、騎士を引退する方が今年は多いそうね。それで門戸を広げて募集するって聞いた。こんなチャンスなかなかないだろうし。それに・・」
姉は言葉をつまらせた。
「それにね、ジェイトン。あなたは、この家の養子だとか思ってるだろうけど、私たちはそんなこと欠片もおもってない。むしろあなたが騎士になりたいということをうれしく思うの」
お城を見て、姉はこういった。
「タブナジアで散った父の血を受け継いでいる、レティグライン家の立派な長男だってね」
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by ryo0610hi | 2009-04-24 12:40 | 番外編